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これは事件かもしれない


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 これは事件かもしれない。昨日、つまり11月17日(水)の午後に自称卒論の発表会があった。もとい、「看護総合演習」という科目なんだけれど、担当のI先生が今年は僕にやってくれというので安請け合いしてしまったものだ。8月からはじめて(オンライン)、途中実習なども挟んで10月末に提出という強行日程で、書いてもらってきた。本人たちはレポートと言うより卒論だと言うので、その意気込みで書いてもらった。西南女学院大学に来て、いわゆる研究指導的なことができたのはとても楽しかった。

 そのことはそれとして、そのためにお弁当を持参した。お弁当といってもスープジャーに仕込んだスープと酢キャベツだ。で、その夜は宗像の「同和」教育研究集会の実行委員会がある、というので17時半頃に研究室を出た。昼食後洗って乾かしていたジャーなどを拭いてホークスの手提げ袋に入れて持ち帰ったはずだ。手提げ袋に入れたところまではまちがいない。実はその後も持ち帰っていると確信していた。

 思った以上に道は混んでいて、会場の市役所に着いたのは19時ちょうどだった。車を降りるときリュックだけを持って庁舎に入った。渋滞が続く中、明日のスープをどうするかについていろいろと思案していた。今日は豚肉だったので、鶏肉にしようかと思いつつ実はウィンナーソーセージを買ってあったよな、ということを思い出し、それと小松菜で・・・というところまで構想は立てていた。

 そして会議が終わり、休呆堂でひと息入れ、いつもより少し早めに帰宅して、大相撲の録画をそそくさと見て、朝はいつもより早起きをして、家を出た。頭の中でスープのレシピをあれこれ妄想しつつ、休呆堂に行った。で、ウィンナーと小松菜とエノキダケで、いいのができた。で、ジャーに入れようとしたが見当たらない。いくら探してもスープジャーを入れた手提げ袋が見当たらないのだ。もしかして研究室に置いてきたのだろうか。そうなるとリュックを背に研究室の鍵をかけたとき空いたスープジャーを入れた手提げ袋を置き忘れてきたのだろうか。脳内の記憶がだんだんそちらに傾いてくる。

 そう言えば今朝いやな夢を見た。どこか古い箱崎の町のような、釜山の市場のようなところに何人か集まってて、あのY代表理事なんかもいて、そこで教え子のSを呼ぼうということになり、スマホをかけようとしたらその名前が出てこない。そこにYくんの冷たい視線を感じ、引退を決意するような夢だった。それには伏線がある。前述の市役所での会議の時、お願いしたい講師の名前が出た。僕は以前その人に電話をかけたことがあるので、スマホで検索してみたが出てこなかった。その記憶が夢に再現したのだろう。

 ふりかえって考えれば、携帯に電話したのではなくて、事務所に電話したのだったということは今日になって思い出したことだったが、寝る前にはずいぶんとひっかかっていたことであった。

 だんだん自分の記憶に自身がなくなってくる。しかたがない。研究室に置き忘れてきたものと頭を切り替え、ウィンナーソーセージのスープは夕食に取っておくこととして、途中コンビニで昼食用の食料を調達して出勤した。

 そして、迎えてくれるであろうジャーとの再会の感動の予感に胸弾ませて研究室のドアを開けて中に入った。

「ん?」

 あるべきはずのところにあるべきはずのものが見当たらないのだ。ちょっと呆然。で、考え直した。助手席に置いていた手提げ袋だ。急ブレーキでもかけたときに前に落ちたのかもしれない。それを見落としたか。

 そうなると、またそれが気になる。で、時計を見ると8時48分を指している。待つことにした。50分になれば讃美歌が流れる。それを聴いてからだ。

 はたして、8時50分に讃美歌が流れた。

 で、駐車場に戻った。期待と不安の入り交じった心持ちで、車の助手席のドアを開けた。足下にも手提げ袋はなかった。では、愛用のスープジャーを入れた手提げ袋はいったい何処で姿を消したのだろうか。謎は深まるばかりだ。


 
 
 

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